とうとう筒井だけになっちゃったかぁ……。
小松左京氏の作品は映画化した長編ばかりが有名ですが(そりゃな)
短編にこそ実力が凝縮されていると私は思います。
初めて
「お茶漬けの味」や
「くだんのはは」を読んだときの、あの衝撃!一生忘れません。
アイデア主体のジャンル“SF”において、不要なほどの圧倒的筆力。
それって展開で読ませる長編より、深さを競う短編でこそ発揮されるよなあ。
きっと今の子が読んでも「ありがちー」とか思われちゃうんだろうけど、
懐古厨ってわけではなく、彼はみんなが知ってるさまざまなアニメ・ラノベ設定の創始者なのですよ。
今も続く日本SFの草分け・創始メンバーとして非常に尊敬しています。
山下洋輔周辺も交えてのカオスな座談会とか、今やれないような薬物の話を普通にしてたり、
体制に対するからかうような態度って、2ちゃんに通じるもんがあると思う。
社会を相手取って軽快に遊ぶ『祭』の感覚は、あのへんが発祥じゃないのかなあ?
ネットもなく、同人(ネットワーク的意味での)もなく。
大人が本気でバカ話をしてもいい場所が、当時はSFしかなかったんだよね。
『士農工商犬SF』なんて自虐ギャグがあったぐらい、SFの地位は低かったし、認められてなかった。
「どうせSFなんて」という、
自虐と誇りが混じった感情は、まさに昔のねらーです。
「俺たち頭いいからこういうのを面白がれんだぜ」ってミサワ的な自己主張があったよなあ。
そもそも関西はSFの聖地でしょう。
DAIKONの例を挙げるまでもなく。
今や
オタクという言葉の中にSFが含まれるぐらい、アニメ・漫画はSFがベースになってしまったけど、
それらのルーツって京大や阪大や同志社や大芸から生まれた作品だったりするし、
第一線のクリエイターは関西人ばっかだったりしたんだよ。今も多いけど。
これって小松さんが大阪人だから派生した流れだったりしないのかしら、と今思ったけど違うのかな。
(もしや大阪万博も関係あったりする?→小松→聖地化の流れに一役買ってる?)
ま、今は京アニがあるから別の意味で聖地だけどw
とか知ったような口を利きつつ、私も世代的には全然後なので、ほぼ後追い知識なわけです。
だけどさ、こうやって下の世代に残せる、感動させられる作品・発言・人間関係ってすごいよね。
影響を受けてモノ作りを始めた人や、さらにそのチルドレンがどれほどいるかと思うと、
星さん、小松さん、筒井(なんか親しみすぎて敬称つけれないw)の功績のデカさは計り知れません。
今、
シュタインズゲート見てていつも思うのは、この人たちのことなのです。
面白いからこそ、あー日本SFの血がこうやって脈々と……って感慨深くなる。
筒井あたり見てないのかな。感想聞きたいな。
もっとハードなSFもいっぱいあるけど、考証してればいいってもんじゃなく、読ませどころみたいなのが
ちゃんとなきゃ成り立たないんだよ、
エンターテイメントなんだから。
遊びなんだから。
そういう意味で、彼らが現役だったら面白がるだろう場が、
ニコニコだったり
2ちゃん(昔の)だったりすると思うんだ。
初音ミクが星雲賞とったとき「そう、それだよ!さすが!」て思ったのは、
ミクというSF空間・現象を面白がれなくて何のSFかっちゅうね、
見下さないで面白がる
頭の柔らかさこそSFだってことをよく分かってる!って実感できたからなんだよ。
あれ、なんの話だっけ。
えー、ことほどさように
日本中のオタクカルチャーへ影を落としまくった師匠たちなのです。
私は真面目な星さんや文学な小松さんよりも、筒井のハチャメチャぶりが一番好きなのですが、
あの軽妙洒脱な作風も周囲の先輩あってのものだと思っています。
筒井をのびのび育ててくれたw小松さんにも感謝だな。
ところで小松左京と言えば、
和田誠や
山藤章二が書く、デブメガネの絵が浮かびます。
(筒井の顔がない似顔絵と共に)
近影を見てびっくりしました。
普通の知的なおじいさんじゃないか!痩せすぎ!
亡くなったことよりも、写真にショックを受けてしまいました。
でも……80才か、そうか。あんな顔見たくなかったけど、でも、80才だもんなあ。
あなたのおかげで日本SFは
Cool Japanと呼ばれる世界的カルチャーにまで成長しましたよ。
星さんの方が作家として偉大だと言われがちだけど、SFシーン的にはそうなんだけど、
今の日本文化の状況を生んだ父は、私は小松さんだと思っています。
長い間ありがとうございました。
合掌。
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